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「JKビジネス」女子がみんな欲しがるモノ

「セックスワークサミット2017秋 」第3部レポート 第3回

●「JKビジネス」で働く女の子たちが欲しがっているものとは?

 私がもともと子ども・若者領域を専門としていることもあり、風テラスの取り組みを続けていく中で、いわゆるJKビジネス、派遣型リフレと呼ばれている業態で働いているより若い年齢の女性たちへのアプローチができないかと考えるようになりました。

 現在、JKビジネスと呼ばれている多くの店舗は、18歳未満の「アンダー」と呼ばれる少女たちではなく、18歳を超えている「オーバー」と呼ばれている若者たちが働いています。正確に言えばJK「風」ビジネスですね。違法ではない業態です。派遣型リフレでは、待機部屋がない無店舗型のお店も増えています。彼女たちは待機中、マクドナルドや喫茶店、ショップを回っていることが多いです。

 リフレで働く女性達に限らず、この年代の若者全般にいえることですが、「弁護士やソーシャルワーカーが相談に乗りますよ」とアピールしても、具体的な相談のイメージがないのでほとんど響かないです。そもそも興味関心がないということも。そのため、従来の風テラスの枠組みで彼女たちにリーチすることは難しいと思いました。

 そこで、実際に派遣型リフレで働く女の子たちにインタビューという形で話を聞きながら、色々知恵を絞って考えました。そうして、リフレで働く女の子たちにある程度共通したニーズが見えてきました。何だと思いますか?

 それは、「スマホの充電器」でした。お店からの連絡は全てスマホのLINEなので、スマホの充電が切れた瞬間に、その日の仕事が終わってしまう。彼女たちにとって、スマホの充電場所の確保は、まさに死活問題です。

 そこで私たちがとりあえず始めてみたのは、充電する場所の提供です。駅前の貸し会議室を借りて、彼女たちがフラッと立ち寄れる休憩場所をつくり、そこでスマホの充電や飲食ができるようにしました。利用は無料として代わりに簡単なアンケートに協力してもらいました。

 私たちのスタンスは、そこで「被害の救済」だとか「貧困支援」だとかは考えません。ただ、充電する場所を提供するだけ。決してこちらからは踏み込まず、過去も詮索しない。でも彼女たちの気が向いたら話し相手にもなりますよ、という姿勢です。

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「セックスワーク・サミット2017冬 「つながる風俗女子」+シンポジウム「みんなでつくる『適正風俗』」(主催:一般社団法人ホワイトハンズ)が、2017年12月3日(日)に、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催されます。

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坂爪 真吾

さかつめ しんご

1981年新潟市生まれ。一般社団法人ホワイトハンズ代表理事。東京大学文学部卒。



新しい「性の公共」をつくる、という理念の下、重度身体障害者に対する射精介助サービス、風俗店の待機部屋での無料生活・法律相談事業「風テラス」など、社会的な切り口で、現代の性問題の解決に取り組んでいる。2014年社会貢献者表彰、2015年新潟人間力大賞グランプリ受賞。著書に『セックスと障害者』(イースト新書)、『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書)、『はじめての不倫学』(光文社新書)などがある。


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